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JIM-NETアルビル事務所より
トルコのシリア北部侵攻に対する抗議声明

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10月9日、トルコはクルド人勢力が実質的に支配しているシリア北部(ロジャワ)に侵攻しました。
トルコは、同国内でテロ組織と認定されているPKK(クルド労働者党)の姉妹組織とされるYPG(クルド人民防衛隊)を国境地域が排し、「安全地帯」と設定することで同国が受け入れている400万人にも及ぶシリア難民の「帰還」を実現しようと画策しています。

しかし、戦闘が開始し3日目の今日、トルコ軍の砲撃でクルド側の市民数名が犠牲になり、すでに6万人が家を追われています。国際NGO国際救済委員会の予測では、今後戦闘が続けば少なくとも30万人が難民となると見られています。
また、クルド側からもトルコへの越境攻撃があり、数名の市民が死亡しています。

JIM-NETのアルビル事務所では、イラクのクルド人に加えて、シリアからのクルド人もローカルスタッフとして働いています。彼らは他の多くのクルド人と同じく、今回の侵攻に胸を痛め、即時の戦闘停止を求めています。

以下、JIM-NETアルビル事務所のスタッフである
バルザン(イラク・クルド人)とリーム(シリア・クルド人)の2人が書いた、
トルコのロジャワ侵攻に対する抗議声明です。
クルド人として書いた彼らの叫びを、どうか聞いてください。

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何を書いたらよいのか。何を述べればよいのか。

私たちはクルド人です。クルド人であるからいつも難民であり、クルド人であるからいつも殺されてきました。誰にこの現状を説明すればよいのでしょうか。誰も私たちクルド人を理解してはくれないのに。

トルコがロジャワ(シリア北部)を占領するならば、多くのクルド人がまた迫害されるでしょう。ISIS(イスラム国)を国際社会のために倒したクルド人が、です。

もし国際社会がこのトルコの侵攻に対し沈黙を貫くならば、また多くのクルド人がロジャワから、アルビルなどイラクのクルド人自治区に避難しなければならないでしょう。

自分たちの目の前でトルコのロジャワ占領を認めることが、国際社会が示す21世紀の人権なのでしょうか。

この暴挙を、私たちはクルドの子どもたちにどう説明すればよいのでしょうか。「自由」とは何か、どう教えたらよいのでしょうか。「民主主義」や「人権」とは、どう伝えたらよいのでしょうか。世界がロジャワを守ってくれないのなら、子どもたちは誰もこれらの言葉を、理念を信じないでしょう。

私たちも二度と、民主主義など信じられません。

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