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戦火に生きる人々を見つめて~玉本英子さん報告会~

開催日:2025.7.19

2025年7月19日(土)子どもの文化学校をお借りして、
映像ジャーナリスト 玉本英子さんの報告会を開催しました。

私たちが毎年イラク戦争開戦の3月20日に合わせて開催するギャラリー展では、
今年は玉本英子さんの写真をお借りして展示しました。

会期中は残念ながらウクライナの取材で、
ギャラリーでのトークイベントをお願いすることはできませんでしたが、
ウクライナから帰国されるとのことで、ようやくお話を伺うことができました。

ほんの少しですが、ご報告いたします。
(事務局 大嶋)
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東京生まれだそうですが、関西の生活が長い玉本さんのお話は、大阪弁でトトトンッと軽快に進んでいきます。

アジアプレスに94年に所属してから、
フリーランスのジャーナリストとして中東地域を中心に最前線で取材を続けているそのパワーがトークからも伝わってきました。


新しい戦争のかたち

玉本さんは、2022年のロシア侵攻以降、4度のウクライナ訪問で合計10か月ほど取材されています。
<新たな戦争のかたち>を報告してくださいました。

戦争というとすべてが破壊されて悲惨な状況を想像するかもしれませんが、
最前線以外では、
スーパーも開いていて、おしゃれなカフェやマクドナルドで過ごす人々もいて、
『どこが大変なの??平和じゃん・・・』とSNSで批判されることもあるそうです。

しかし、玉本さんは、それは『今の戦争を知らないから。パッと見た目で背景まではやっぱりわからないので、そこを想像してもらえたらな、と思っています。』と言います。

 

K-POPを踊ったり、日本のアニメのコスプレをして心の支えにする若者たち

「皆さんの中にはこんなことやってどういうこと?」と思う人もいるかもしれません。
・・・と前置きする玉本さん。

でも、

いや、戦時下だからこういうことをやるんですよ。自分たちにとって一番大好きなことを。戦時下でも日常生活を続けること、それがすごく大事なこと。心の励みにもなるし。
ここで私たちが戦争で大変なんだ、いつも悲しいって泣いて泣いてばかりいたら、相手の思うつぼ。
だから私たちにとっての日常生活を続けること、大好きな事をするということが、侵攻に対する抵抗だ。』と言う子がいて、
「そういう考えがあったんや!」とびっくりしたそうです。

ドローンが変えた戦場

花火大会のようなまぶしい光に目がくらむ映像・・・。
自爆攻撃ドローンを迎撃している映像だと言います。

このドローンは、『シャヘド』と呼ばれるイラン製のものをロシアが使っており、
3メートルほどの大きさでカメラが付いており、威力も大きく、5m先で爆発しても死ぬ確率は高いそうです。


玉本さんの手元にあるのは、有線ドローン用の光ファイバーケーブルのボビンです。
 
テグスのような透明な糸で、手で簡単に切れます。
鳥がこの光ファイバーケーブルを使って巣を作ることもあるそうです。

偵察ドローンが見ているので昼間に出歩けない怖さは、人々に心理的ストレスを与えています。

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イラク:IS(過激派組織イスラム国)によるヤズディ教徒襲撃

ヤズディの人たちはISの侵攻以前にも、弾圧されてきた歴史を持っています。
サダム政権下でも酷い弾圧を受けたヤズディの人たちをIS侵攻の2014年よりも前から玉本さんは取材されており、
侵攻前の穏やかなヤズディの村のこと、そして侵攻後から現在までを伝えてくださる貴重なジャーナリストです。

ISはヤズディの村を襲撃し、子どもたちを拉致し、少年兵の訓練所へ入れたり、IS戦闘員と強制結婚させたりする蛮行を行ってきました。

現在の子どもたちの様子を聞き、こんなにも取り返しのつかない傷を与え、
いかに人間の尊厳を踏みにじってきたのか・・・。

激しい怒りを覚えるとともに、少年兵として洗脳された子どもたちや心を閉ざしている子どもたちのこれからを憂いてしまいます。
家族やコミュニティ、そしてNGOなどのサポートがこれからとても重要です。

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最後に、ウクライナからの留学生ニキタくんが、スピーチしてくれました。
ニキタくんは、大学で学びながら、日本語教師のアルバイトなどをして家族を支えています。

イベントにいつも遊びに来てくれたり、
JIM-NETスタッフのお母さまと文通したり、とても優しい男の子です。

「最初は1年以内に終わると思った戦争が、すごく長引いている。
イラクのようにウクライナも戦争・紛争国リストに並んでしまった。
こんなに文明が発展している土地でまさか戦争なんて起こらないだろうと思っていました。
だから日本もそうならないでほしいです。
今、台湾有事などいろんな話がありますが、話し合いをして、戦争が起こることがないように祈っています。」と話してくれました。
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玉本さんのイラクやシリア、ウクライナなどの記事をお読みいただけます↓
https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/tamamotoeiko

ぜひご覧ください。

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