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シリア国内支援を実施しました。
10月末、今年度予定していたシリア国内に対する医薬品支援を実施しましたことをご報告いたします。
今回はシリア北東部、ハサカ県にあるワショカニ難民キャンプ、サリカニ難民キャンプ、そしてアルホール難民キャンプへ慢性病等に対する医薬品1万ドル(約114万円)分を届けました。
ラッカ県にありますマハムデリー難民キャンプからも支援要請を受けており、現在追加の支援を検討しています。
また今回、ワショカニ難民キャンプでは画材を購入し、約40人の子どもたちを対象に絵画教室を開きました。
絵を描くための基本的な物資も不足しているキャンプ生活の中で、子どもたちが一生懸命に自分を表現する姿を見ることができました。
シリア北東部地域の治安は未だに緊迫した状態が続いています。
2019年のトルコの侵攻以降、様々な勢力が北東部地域に展開しており、
ロシアと米国の戦車が同じ道路上を走っている光景なども見られます。
またハサカ県内には過激派組織ISISの戦闘員も多く収監されており、
「いつ爆発するか分からない時限爆弾のようだ」とある市民の方が話してくれました。
昨年から続く高インフレも、人々の生活に重くのしかかっています。
シリア北東部地域の男性の平均月収は80-90USD(約1万円)で、物価高騰が続く中これでは家族を養うこともできません。
ヨーロッパ諸国に親族がいる人は彼らの送金に頼った生活を続けています。
また若者はシリアに未来を見出せなくなり、危険を承知で欧州を目指す旅に出ています。
欧州への密航を考えているというある男性は「一度死ぬのは千回死ぬよりもマシだ」と話していました。
例年、JIM-NETでは年に2回のシリア国内支援を実施していますが、今年は支援を行うシリア人スタッフのリームが妊娠・出産があり、彼女の体調を考慮し一回だけの実施となりました。
JIM-NETの支援を仲介してくれる現地パートナーであるクルド赤新月社(KRC)も、シリアの遠隔地では常備薬や慢性病に対する薬はいつも不足しており、支援がなければ医療システムが崩壊してしまうと話していました。JIM-NETの支援と日本のサポーターの皆さまに対して、担当者の方が感謝を述べていました。
今後も現地のニーズに応じて、JIM-NETができる柔軟な支援を通してシリア国内に暮らす人たちに寄り添い続けて参ります。
タグ: シリア国内支援