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緊急支援:アンバール県ルトゥバ病院への医療機器及び医薬品支援

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7月末のことですが、ルトゥバというイラク西部アンバール県にある
シリア、ヨルダン、サウジアラビアと国境付近の村の職員が
JIM-NETハウスを訪れ、ルトゥバ病院の現状を報告してくれました。

以前もJIM-NETではルトゥバ病院に医療機器や医薬品の支援を
実施したことがあるのですが、今回も深刻な医薬品、医療機器不足でした。

病院の現状をスタッフと共に聞き取り、ルトゥバ病院で現在必要としている
医療機器及び医薬品を約1500ドル分を支援し、現地からその報告がきました。
ルトゥバ病院
(ルトゥバ病院)

■主な支援品
-歯科治療用エアーコンプレッサー
-聴診器
-血糖値計
-局所麻酔薬
-歯科治療用針
-心電図ロール紙
ルトゥバ緊急支援2
ルトゥバ緊急支援1
ルトゥバ緊急支援3

ルトゥバは3つの国の国境に接しており、イラク戦争後も
長らく治安が安定せず、国境警備隊はいるものの
テロリストが潜伏しやすい場所とされてきました。
またこういった地域は政府によるコントロールも難しいと言います。

2014年6月下旬より、ISにより村は占領、村民約250人が殺害され、
公共施設を含む300軒以上の建物が破壊されました。
この日JIM-NETハウスに訪れた役所のジュモア氏の家も破壊されたそうです。
ルトゥバ村の職員の家
(ジュモア氏の家)

IS(イスラム国)は水道局や発電所をも破壊、家畜も殺害し
村の経済は大混乱、失業率が80%まで達しました。

2016年にはイラク軍と国際連合軍が協力し、ISと激しい戦闘を繰り広げ、
2017年5月イラク軍はルトゥバにあったISの拠点を襲撃、
多くの武器と車両などを押収しました。この頃のルトゥバの
治安は大変悪く、治安当局からは夜間外出禁止令が出されていました。

2017年11月ようやくISから解放されたものの、その後も
治安は安定せず、最近まで国際連合軍がルトゥバに留まっており、
2019年7月下旬にはイラク軍がルトゥバ近郊の
砂漠に潜んでいたIS軍掃討作戦を実行しました。

ルトゥバには病院がありますが、規模が小さく、
医療機器や医薬品だけでなく医師や看護師不足が深刻です。
入院収容可能人数が50人のところ、1日に一挙に70人ほどの患者が来ることも。
多くの患者は戦闘によるけがや火傷で、その他妊産婦、
歯科、小児ワクチン接種のサービスが特に深刻とのこと。

JIM-NETに出来る支援は限られていますし、イラク政府が
解決しないといけない問題も内包されていますが、
イラクで医療支援を行っている団体として、
今できる限りの支援を検討し、この度緊急支援を実施しました。

治安が安定しない地域への支援は、医薬品購入場所や
持参方法など難しいことも多いですが、JIM-NETが持つ
ネットワークで何とか今回の支援を実施することができました。

このような緊急支援は今後も実施することも考えられます。
皆さまの引き続きのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
https://www.jim-net.org/donate/donation/

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